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亭主の独り言 vol.18


東北震災、被ばくピアノコンサート、とうふまつりの一年を振り返って

 

  『被ばくピアノ』という名をご存知の方も多いと思います。このピアノは広島の原爆爆心地近くにありながら奇跡的に残ったもの。ピアノにはガラスの刺さった 痕や焼けた跡。それを良い状態に保ってきたのは調律師の広島の矢沢さん。海外にも渡り、最近東北にも行かれています。
  持ち主のミサコさんは八十を超えてご 健在。『ミサコのピアノ』の名でも知られています。

「夢心亭の来年のとうふまつりでこのピアノのコンサートは出来ないかな?」
  2011年の9月の末こんな 話をしている時に、このピアノのコンサートが小田原と川崎で開らかれるということを知りました。移動の一夜の空白時間が出来ました。
  ソプラノ歌手でわが店 の音楽プロディーサーの高松女史と私は実現しようと動きました。十月の初め市内の音楽家に声掛けをはじめました。ちょうど東京芸術大学大学院在籍中でドイ ツで活躍している女性が帰国中で「私に弾かせてください」。口笛の世界チャンピオンが「俺もやるよ」。語り部のベテランが「私がやりましょう」。広島で被 爆した伊勢原在住の人が「私に話をさせて。平和を訴えたい」。バイオリストが協力してくれる。瞬く間に音楽家や手伝ってしてくれる人たちが集まってきまし た。
  ちょっとこれは凄いコンサートになりそうだ。わが店のコンサートの規模ではなくなりました。

 「入場無料、出演料無しでやらない?」。皆、承知しました。急な話ですから市の文化会館も空いてません。ある中学校の校長先生が「うちの体育館ではどう かな?」。有りがたい事です。

  十一月三日夕刻、市民が並び始めました。最初百人か二百人かな?と、予測していたのがどうも増えそうです。用意した椅子は六○○席。座りきれず立ち見が出 て体育館は一杯です。この六○○席を並べたのはこの中学校の子供達です。「皆ありがとう」。

ピアノの音はチェンバロに似ているなと思いました。会場全体は温かい雰囲気で一杯でした。

 芸の無い人はただ一人、私です。
皆が閉会の挨拶をしなよと。
「でも、私は脳梗塞の言語障害だよ」  「へいきへいき、やっちゃえ」。
 
皆様に失礼がないように、私はその場で原稿を作って正確な発音で丁寧に話しました。

 


 『私たちは今回の震災を、殆どの人達が、テレビなどで知るのみですが、福島県二本松市役所に勤める私の友人は「俺たちは皆最後には放射能で死ぬんだ。俺 の 沢山の友人は原発に手伝いにいって帰ってこないよ。覚悟しているよ」と言いました。それが大袈裟ではない状況が見えて来ました。
 私の知り合いの東海大学病院に勤める女性事務員が震災後すぐに大型トラックを仕立てて、沢山の支援物資を運びました。塩お握りばかりの生活が続く中に、 出 来立てパンやぼた餅が運ばれ、大喜びで群がったそうです。
 そのトラックにはマスク2万枚と遺体を包む専用の袋が沢山積まれていました。専用の袋がなければ ならないという状態とは何を物語っているのでしょうか。災害とはこんなに悲惨なものです。
 今は物資も回りはじめましたが、何よりも励ましの言葉が嬉しいそうです。

 被ばくの広島、震災の東北、福島の原発。今回のコンサートを迎えるにあたり私はどのように受け止めようかと考えていました。

 今日のコンサートは私たちを心豊かにさせていただきました。皆が心豊かになり、優しい気持ちで復興の力になりましょう。
 本日ここにお集まりの皆様の優しさに、心から敬意と感謝を申し上げて閉会の言葉とさせていただきます。ありがとうございました』。

 
はたして正確に伝えられたのだろうか? 分かりません。

 

 義援金が○十万集まりました。原発を避けて避難している人たちが多い安達地方広域行政組合、二市一村の首長たちが十一月十日に集まると聞きました。二本 松市の友人に段取りを頼んで、義援金は無事わたりました。
福島民報。福島中央新報。福島民友。各地方紙に三首長と伊勢原市民の代理として友人の姿が載って います。伊勢原市民の友情が確実に伝えられました。

毎日放射能の浴びる近くで生きなければならない友人の頑張っている姿を見て本当に嬉しく思います。

   震災後一年を過ぎた時、高松女史が「三月三日のおおやまとうふ祭りに二本松市の彼を招待しませんか?」私は賛成しました。今年のとうふ祭りはデューク更 家さんがメインゲスト。彼も福島での復興支援に熱心取り組んでいます。「デューク更家ショー」の途中で彼を紹介しました。皆から盛大な拍手。 もちろん デュークさんのショーも素晴らしかったです。

 

 脳梗塞でまともに歩けない人間がウオーキングのプロを招くという不思議さ。でも私は凄く楽しかったんです。また、たくさんの素敵な出会いが出来きまし た。たくさんの善意に感謝します。


相原秀樹亭主・館長 相原秀樹

私儀恐縮ですが、私は一見難しい人間に見られがちですが、実は全然違います。
おしゃ
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